社会システム論の誕生──パーソンズと精神分析──

社会学ジャーナル表紙写真

収録誌:社会学ジャーナル(ISSN:0285-3531)AN00109674
巻号 :第27号
頁  :41〜54頁
発行日:2002年3月23日
発行所:筑波大学 社会学研究室

論文概要

T・パーソンズの社会システム論の誕生において、パーソンズの精神分析との出会いは重大な役割を果たしている。本論文では、このことをパーソンズの社会学の学説史的展開のなかで検証し、『社会的行為の構造』以後の近代医療を題材とした研究の「挫折」のうちに、パーソンズの社会システム論それ自体が「病跡学」としての値をもつことを見出す。パーソンズの社会システム論において、精神分析が社会システムと結びつけられるのは、精神療法に象徴される社会統合の面においてであった。しかし、パーソンズにおいて精神分析からの影響が如実にみられる論文は1960年代以降少なくなっていく。このことは、構造−機能主義の社会理論と呼ばれるようになることと期を同一としており、そこでは精神分析という媒介物は、単に見えなくなっているのではなく、永遠にAGIL図式を使って説明していかなければならないという具合に、パーソンズの社会システム論の性質を記述するものでもあるのだ。本論文では最後に、パーソンズの社会学が1960年代以降にその人間観/人間像において批判されたことを取り上げ、20世紀の社会学のひとつの規準となった行為論の系譜に注意を促している。

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